白水タンクで特殊な曝気をおこなうと、抄紙工程のトラブルが減ります
白水(はくすい)とは、抄紙工程で排出される、微細なパルプ繊維が含まれた水です。
大小さまざまな貯留タンク(白水タンク)を巡りつつ、抄紙用の希釈水やシャワー水として再利用されますが、含まれる有機物をエサに微生物が繁殖して水質が悪化するため、それを防ぐために多量の殺菌剤(スライムコントロール剤)が投入されます。しかし、それでも水質悪化を食い止めきれていない工場が多いのが実情です。
白水タンク内で特殊な曝気をおこないますと、抄紙工程から排水処理に至るまで、広範なメリットが得られることが明らかになっています。
わずかな投資で多大なコスト削減効果が得られます。2021 年10 月現在で、工場数で22、タンク数で100 を超える実績があり、国内のみならず、台湾、韓国、ドイツなどでも導入が拡がっています。
以下に、代表的なメリット4つをご紹介します。
より詳しくは、改善のメカニズム、やり方、実績などをまとめた資料をご覧に入れますので、お気軽にお問い合わせください。
メリット1:ORP 値 (酸化還元電位値) が顕著に上昇し、硫化水素は発生しなくなる。
メリット2:スライムコントロール剤(微生物殺菌剤)の使用量が、3割とか、5割とか、削減できる。
白水が還元質であるとスラコン剤の酸化力がムダに消費されてしまうが、白水が酸化状態になれば、スラコン剤の効きが良くなるため。
メリット3:全有機酸の生成量が激減し、有機酸に起因するピッチトラブルなど、抄紙工程での欠点が減少する。
メリット4:紙力剤の使用量が削減できる。 排水処理の負荷が軽減される。
白水が嫌気化すると、でん粉の分解が進み、紙中でん粉量が減った結果、破裂強度が大幅に低下してしまう。
しかし、特殊曝気によって白水を好気環境にキープすれば、以下の3つの効果が得られる。
- ①添加した紙力剤のほとんどが、分解されずに紙に残る。紙力剤が有効に使われてロスが減るから、紙力剤添加量を減らせる。
- ②紙力剤の添加量が減らせる分、排水中に流出する紙力剤成分が減るので、排水処理の負荷が軽減される。
- ③分解されるでん粉量が減って排水中のBOD 負荷量が低下するため、排水処理の負荷が軽減される。